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【書評】不倫 - 不倫もバッシングもなくならない世界でどう生きるか?

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「不倫 (浮気) している or されている」「彼氏 (彼女) との関係で悩んでいる」「恋人がほしい」こういった状況にある方々にとてもオススメの本を紹介します。

結論から言うと、「不倫がなくなることはないし、人や社会を変えるのは難しいけど、それでも1人ではなくパートナーと歩む人生を目指そう」ということになります。

それでは、レビューということで内容を紹介しつつ、感想などを書いていきます。

本書の概要

バレたら仕事も地位も家族も金銭も失うとわかっているのに、なぜ人は不倫をやめられないのか? 社会が過剰な不倫バッシングに走りがちになるのはなぜなのか? 最新脳科学の知見をもとに、進化の過程で人類が選択した「生存戦略」、「社会的制裁」の謎に迫る!

Amazonより

著者・中野信子について

日本の認知神経科学者、評論家。東京都出身。東日本国際大学特任教授。株式会社ビッグベン所属。MENSAの元会員。旧名は原信子。学位は博士(医学)(東京大学)。

Wikipediaより

脳科学者の中野さんが、最新の論文データや科学的エビデンスをベースに、現代人、特に日本人が不倫をしたり、それをバッシングする理由について書かれた本です。 

人類は一夫一婦制には向いていない

日本で生まれ育った場合は一夫一婦制が当たり前と感じますが、世界には一夫多妻制や多夫一妻制となっている地域や宗教もあります。 

特定のパートナー以外との性行為をすることは、生物界では普通のことです。

人間だけではなく、その他の生物に視点を広げてみても、それは同じです。身近な動物や昆虫などの生態を考えれば、彼らは生涯を通して特定のパートナーとしか生殖しなかというと、全くそんなことはありません。

ではそういった違いはなぜ発生するのでしょうか? 

ある生物が現在の生殖スタイルに至ったのは、そうした方が環境に適応的だったからです。つまり、効率的に生き残り、繁殖するためには、今のような生殖スタイルが優れていたのです。

日本 (+その他の国や地域) の場合は、

農耕を始めて集団定住するようになった後、性感染症の大流行に見舞われた。そのため、同じ相手と一生添い遂げる方が、公衆衛生的な観点から集団の維持に有利になり、一夫一婦制が定着するようになった

と推測されています。

ただし、実際には後述する遺伝子やホルモンの影響などで、一部の人は不倫をするため、トラブルになったり、バッシングを受けることとなります。

人の価値観や社会のシステムが比較的スピーディーに変化していくのに対して、遺伝子や本能的な部分は、数千年、数万年かけて進化していくからです。

人が不倫する3つの原因

大きく分けて、以下の3つが理由です。

  1. 先天的な、特定の遺伝子の働き
  2. 後天的にかたちづくられた、その人の愛着スタイル
  3. 周期的、反応的な男女の性ホルモンの働き

1つずつ簡単に解説します。

1. 先天的な、特定の遺伝子の働き

バソプレシンという脳内物質に関わる脳の働きが、「不倫型」と「貞淑型」の2タイプに人を分けるそうです。

割合としては5:5と推測されています。つまり、2人に1人は「一夫一婦制に向かないタイプ」ということです。

2. 後天的にかたちづくられた、その人の愛着スタイル

乳幼児期の親との関わり方が、その人の人間関係の築き方を「安定型」「回避型」「不安型」の3つに分けるという理論があり、それを「愛着理論」といいます。

「安定型」はその名の通り、一夫一婦制を好む傾向にあります。「回避型」は自分の魅力を誇示したり実感するため、「不安型」は淋しさを埋めたり愛情を求めてセックスをするそうです。

要するに、適切な時期に適切な愛情を得ることができなかった場合、ヤリチン or ヤリマン (メンヘラやビッチとも言ってもいいかもしれません) になるということですね。何となくそんな気はしていましたが、科学的な根拠があったようです。 

3. 周期的、反応的な男女の性ホルモンの働き

モテホルモン・テストステロン

テストステロンという男性ホルモンがあります。モテホルモンと呼ばれることもあり、濃度が高いと、性欲や攻撃性、競争力が強くなります。

したがってこのホルモンが強い人は、不倫に走りやすいと言えます。

生理は女性をセクシーにする

排卵期 (生理) の女性は無意識のうちに自分の性的魅力をアピールし、男性も匂いでそれを見抜くということが実験で明らかになっています。

「女性は生理の時はムラムラする」ってのはあながちウソじゃなかったんですね笑。この時の女性はテストステロン値が高い男性を好むので、パートナーが欲しい男性は筋トレをしてテストステロンを高めましょう!

恋人気分が続くのは1,2年だけ

特定の人と付き合っている時は積極性を司るセロトニン濃度が低下し、浮気をする可能性は低くなりますが、その効果が続くは1,2年です。その後は好きという感情が失われてしまいます。

「1,2年経って相手に飽きられて捨てられる」という状況を避けるには、幸せホルモン・セロトニンが重要です。付き合っている期間の中で、ハグやセックスを通してセロトニンを分泌し、お互いの絆を形成しましょう。

人が不倫をバッシングする心理

自分とは全く関係のない他人同士が不倫することに対して、どうして人はバッシングするのでしょうか?

その理由は以下のように考えることができます。

共同体を維持していくためには、コストを払わずタダ乗りするフリーライダーにサンクション (制裁) を加えて排除する必要があります。不倫をする人というのは、出産や子育てのコストを払わず、恋愛やセックスを楽しんでいるだけとみなされ、バッシングされるというわけです。

最大のブレーキは共同体からの排除

不倫を思いとどまらせるのは、共同体から排除されるという恐怖です。

太古の昔、人がまだ狩猟採集生活を送っていた頃を想像してください。その時代は共同体が不可欠で、仲間なしで1人で生きていくなんてことはできませんよね。

だから「責任感」や「罪悪感」などではなく、「共同体からの排除」がブレーキとなるのです。

  • 職場の人とは付き合いたくない
  • 海外に行くと、性に開放的になる

この2つの現象も、上記の理論から説明できます。

人は無意識のうちに、職場の人と付き合って何かトラブルになり、ハブられたり不利益を被るのは避けたいと考えます。逆に、海外などに行くとそこは自分の共同体の外なので、制裁を受けたり排除されるリスクがなくなり、奔放に振る舞うというわけです。

私たちはどう生きるか?

不倫やバッシングの原因だけではなく、「不倫する人やバッシングする世論、一夫一婦制をベースとした社会システムを変えるのは難しい」ということもわかりました。

また、自分が不倫して誰かを傷つけたり迷惑をかけるのはイヤだし、相手に不倫されるのもイヤだからといって、生涯1人で生きていくというのも大変そうですよね。

では、「どう生きるか?」ということを最後に考えていきます。

独身・不倫は早死にする

  • 独身の方が配偶者がいる人よりも寿命が短い
  • 独身は認知症になるリスクも高める
  • 不倫している男性は早死にする 

これらは客観的な事実です。

多様性を受け入れよう

一夫一婦制だけが正解ではないように、人の価値観は多種多様です。社会システムや善悪の基準も、時代や場所によって変わります。

自分の考えや経験だけが正しいと思い込んでしまうと、生きづらさに繋がります。

他者を尊重し、社会やお互いにとってのベストを目指すという姿勢が大切です。

パートナーを見つけよう

1人でいることは寿命を縮めますし、なによりも寂しいものです。

同性婚事実婚といった形でもいいし、子どもを作るかどうかは別問題。

まずは苦楽を共にするパートナーを見つけるということを目標にしましょう。